2012年5月18日金曜日

起業する時の借入れのポイント〜国民生活金融公庫〜  竹村達也税理士事務所



当事務所でご相談を頂くご質問で多いのが、
『会社を退職する前に借入れをするべきでしょうか?』というご質問です。

  退職してから借入れ申込みをした際に、もし断られたら・・・
  退職後の申込みではリスクが大きい
  事業資金を用意できないと、FCに加盟できない・・・
  事業資金を用意できないと、優良物件を確保できない・・・

このような不安が少なからずあるのだと思います。そして多くの方が、『退職する前に事業用資金を確保しておきたい』とお考えのようです。

これから起業する方が、借入れの申込みをしようとする際に一番多く活用するのが、「国民生活金融公庫」だと思います。

よく、「個人事業より会社の方が借入れしやすいのでは?」と聞きます。結論から言いますと、

個人事業か会社かはまったく関係ありません。

起業前後の融資申し込みの場合、事業としての実績がありませんので、どちらも同じ見られ方をされます。
「会社の方が資本金があるから・・・」と聞きますが、資本金の金額がそれほど多くない場合は個人事業となんら変わらない見方をされるのが実情です。

また、資本金は会社設立当初は現金として残っていますが、通常はパソコンや敷金等の諸経費で、どんどん残高が減っていきます。そうしますと、「資本金としての現金」はほとんど残らないことから、「資本金がある・なし」はあまり関係しません。

個人事業か会社かよりも、もっと大事なポイントがあります。

国民生活金融公庫へ行きますと、たくさんのパンフレットが置かれてあります。「新創業融資制度」な ど、これから起業する方向けの融資が紹介されてあります。

「担保・保証人⇒不要」と記載ありますので、その気で相談に行きますと、

「保証人になられる方はおりますか?」「担保不動産はございますか?

と質問を受けます。

「えっ?無担保・無保証人ではないのか?」とお思いになると思います。

実は、「無担保・無保証人」の融資制度はありますが、多くの融資は、有担保・有保証人が必要となります。やはり金融機関ですからリスク軽減を図るためにも保証人・担保を求めるのです。

担保・保証人不要の融資制度は使えるケースは、事業の将来性に相当の魅力がある場合など、極めて稀なケースの場合で、非常に条件が厳しいため有効に利用されないのが現実です。


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ですので、融資を受けるためには、担保や保証人が必要となるのが一般的ですので、これから融資を申込み際にはご注意ください。

逆を言えば、保証人・担保があれば、借りられる可能性は極めて高いものになります。
(担保・保証人の例としまして、ご両親、実家の建物や土地が比較的多いです。)

親兄弟、配偶者を保証人にしたくないお気持ちはわかります。しかし、公庫から借入れする以上、公庫もリスクを負うことになります。借りられなければ起業することも難しくなるでしょう。お互いリスクを共有することになるわけですの、なんとか、親兄弟から保証 人になって頂けるように努めてください。

また、融資相談をする際には、事業計画について詳細に説明できるようにした方が良いです。
国民生活金融公庫へ相談に行きますと、「開業計画書」に記載を求められます。

この開業計画書とはB4用紙1枚に、事業内容・必要な資金と調達の方法・開業後の見通しを記載するものです。計画書の左側には、事業内容を記載することになります。右側には、資金調達について、開業後の見通しを記載します。

事業内容の欄には、開業の目的やセールスポイント等を記載しますが、率直に言いますと、あまり重要視されていません。

重要視されるには、右側に記載する「開業後の見通し」「必要資金の調達方法」です。この実質0.5ペ� ��ジの部分だけで、事業計画を説明することになります。

つまり、この少ないスぺースで国民生活金融公庫を納得させるだけの説明をする必要があります。公庫には記載例が掲載されております。よく見ますと空欄が目立ちます。
記載例に習って、空欄が多い事業計画を作成してはいけません!

ここは,「びっしりと・具体的・詳細に」記載することおススメします。

さらに、開業計画書では書ききれない部分に関して、別紙で計画の説明することも必要です。事業計画だからといって、何十ページも作る必要はありません。きちんと数字の根拠と、あなたの熱意が伝わる内容であれば4〜5枚程度で十分です。

内容についてですが、開業計画書には、売上予定・経費予定・利益・借 入返済額などを記載しますので、その根拠を具体的に記載しましょう。

・売上予定額の根拠


私はどのような金利を払う必要があります?

・経費の概算
この部分が甘い方が非常に多いです。国民生活公庫の担当者のチェックも厳しいですの、考えられる経費を全て計上してください。

・利益、返済原資がいくらになるか。

以上を注意して作成しましょう。これから起業にあたり壮大な目標を抱くことも大事ですが、国民生活金融公庫の借入れにおいては、

きちんと毎月返せるのか、返せないのか?事業の継続性が見込めるか、どうか?

これだけです。どんなに立派な事業計画を立ててみたところで、どれだけうまくいくかは誰にもわかりません。

つまり、現 実性のある計画=売上・経費・利益・返済原資が生まれるかどうか、の部分で現実的な根拠を示し、しっかり返済できる、また、事業の継続が見込める、という内容がはっきりわかるように、最低ラインで考えて作ることが大切です。

やはりこの部分が核になるわけですので、詳細に記載することは必須です。さらに、面接時の口頭説明でしっかり説明できるようにしましょう。

口頭説明は、抽象的ではなく、具体的に、はっきり、熱意と誠意をもって説明しましょう

この事業計画の精度、口頭での説明でしっかりとアピールすることによって、「しっかり考えて起業する方だな」と、信頼を得ることもできますし、なにより「 全く説明できない方」「事業計画を漠然とだけ考えている方」との区別がされ、融資も前向きに検討してもらえます。

基本的には聞かれたこと以外は答える必要がありませんが、まれにプライベートな事も聞かれるとは思いますが、拒否せずに正直に答えましょう。

「自己資金」」も重要なポイントになります。よく起業される方からのご質問で、

「開業資金は全額、借入れ可能でしょうか?」というご質問を頂きます。

答えは、「ほとんどのケースで全額借入は難しい」です。

やはり、事業が軌道に乗り資金繰りが安定するまでにはどうしても時間がかかります。借入金の返済や予想外の出費で資金繰りが苦しくなるなど、さまざまな問題が起こります。万一の時に備えて、数カ月分の経費相当分はとっ ておくなど、ゆとりを持った創業の資金計画をたてることが大切になります。その為にも自己資金は必要となります。

また、借入れを申し込み際には、条件として「自己資金の2倍」「自己資金ど同額」という条件があります。つまり、全く自己資金が無い状態では借入れを行うことも出来ないことになります。


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国民生活金融公庫の担当者は「自己資金」についてかなり詳しく聞いてきます。

貯金、親兄弟からの借入れは自己資金として認めてもらえますが、友人・知人からの借入れは自己資金とみなしません。

まれに、「見せ金」をする方がいますが、やめておきましょう。自己資金の証明には、通帳を提示する方法がありますが、大きな金額が突然入金されているようですと、その出所まで追及します。一時的に、友人・知人からの借入れ、消費者金融などから一時的に用立てて、自己資金としても、かなり追求されますので絶対にやめておきましょう。

自己資金はあったにこしたことはありません。貯金、� ��兄弟からの借入れで自己資金を用意することは必須条件となります。

まとめになりますが、個人事業か会社かは全く関係ありません。

重要なことは、

1.『事業計画書の内容・根拠=現実的な数字がどうか』

2.具体的・はっきりと・熱意・誠意ある説明ができるかどうか

3.保証人・担保の有無

4.自己資金の有無

となります。「そんなの当たり前じゃないか」とお思いになると思いますが、この当たり前の事がなかなか出来ないまま、申し込みをして失敗するケースが多々あるのです。
以上のポイントを踏まえて融資相談を受けに行きましょう。

実はもう一つポイントがあります。それは、

「紹介」です。

金融機関に融資を申込み際、 まったく知らない方がご相談に来られるよりも、お知り合いの方からの紹介という形で相談に行く方が、金融機関としては安心なのです。(特に民間の金融機関)

いきなり窓口に行き、「融資を申込みたいのですが」と言いますと、金融機関は「警戒」してしまいます。「他の金融機関借りられないから、ここへ来たのだろうか?」という、あらぬ警戒心を持たれてしまいます。

それよりは、その金融機関とお付き合いのある方、具体的には、その金融機関から融資を受けている社長や個人事業主さん、税理士等です。金融機関とのお付き合いがある方からのご紹介であれば、金融機関も安心して相談を受けることができますし、せっかくのご紹介ですから、紹介者の顔をたたせなくてはなりませんので、前向きに検討して� �けます。

紹介者の方には金融機関へ、電話一本を入れて頂いて相談の予約をしてもらい、できれば一緒に相談にきて頂けると、なお良いでしょう。


当事務所の顧問先様のケースの場合ですが、金融機関の営業マンだけではなく、わざわざ支店長まで同席して頂いて、融資を成功させたケースもあります。

「紹介」の場合、金融機関も紹介されるあなた自身も、紹介がない場合よりも、安心して取引ができます。

当事務所では、起業相談・助成金相談をお申込みされた方限定ですが、国民生活金融公庫などの金融機関へご紹介・ご同行致しております。

注意点としまして、融資の確約を保証するものではありません。あくまでも当事務所とから、金融機関へのご紹介・ご同行が可能であって、融資の有無は、金融機関が判断致します。よって、事業計画の内容及び諸条件を金融機関が判断し融資の有無を決定するという点はご� ��解ください。

起業相談・助成金相談のお申込みは、電話またはホームページからお申込みください。

起業する時だけ公庫とお付き合いするわけではありません。これから起業する際にも借りますし、何年か後にもお世話になる場合があると思います。

公庫の場合は返済実績を重視しています。最初は少ない金額でもコツコツ返済することによって、返済実績が生まれます。返済をしてきたという実績が「信頼関係」を築き、後々の借入れを有利にすることもできるわけです。

さらに公庫は、民間の銀行のように「業績が悪くなったらすぐに手を引く」ようなことはしません。民間金融機関は業績が良い優良企業を顧客として求めますが、小規模事業者・中小企業をメイン顧客とする公庫は政府系金融機関ですので手を引くようなこと� ��ありません。

ちょっとした支払いができずに潰れていく会社は多々あります。そんな急な時・将来のためにも、公庫との信頼関係を着実に築いていくことが大切ではないでしょうか?



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